遺言書の必要性

相続が発生してもっとも重要なポイントとなるのが遺言書の存在です。遺言書があるなしではかなりの差が出ます。ご自身の意思を大切な家族にに伝え、円満な相続が成り立つよう、元気なうちに行う家族孝行です。


遺言書の種類

公正証書遺言
公正遺言書とは、公証役場に出向き、公証人に遺言内容を口述し、作成してもらう遺言書のことです。原本を公証役場で保管してもらえるため、安全・確実です。遺言書の本人確認を行うため、実印と印鑑証明書を持参されて下さい。。また、2人以上の証人が必要で、証人には認印を持参してもらって下さい。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、全文自分で書く遺言書のことです。お金も手間もかかりませんが、紛失や偽造、変造の恐れがあり、遺言としての要件が欠けるというデメリットがあります。また、2人以上の証人が必要で、証人には認印を持参してもらって下さい。
秘密証書遺言
遺言者が自分で作成した遺言書を封印後、証人2人と共に公証人まで持っていき、内容は秘密のまま遺言書の存在のみ公証人に証明してもらいます。遺言書の記載は自筆でもワープロでも構いませんが、署名は必ず自筆です。遺言書に押印した印鑑と封印が別だと遺言書が無効となります。公証人が関与しないため、遺言としての要件が欠け、無効となるデメリットがあります。また、2人以上の証人が必要で、証人には認印を持参してもらって下さい。

遺言書を作成しなければどうなるの?

本当に残しておきたい大切な人への財産も分配せざるをえなくなる!?


遺言書がなくてトラブルになった事例

ケース1
長年に渡り病人の母を1人で看ていた長女のAさん(38歳)。母には日頃より「全財産は全てAに相続する」と言われていました。父はすでに他界しており、母はかなりの資産家でした。
				母の死後、10年以上も音信不通だった長男がひょっこり現れ、「自分にも財産をもらう権利がある」と言い出してきたのです。
				納得のいかないAさんは弁護士に相談しましたが、母は生前に遺言書を作成しておらず、遺言書がない場合、法定相続分通りの分け前になる旨説明されたのです。
ケース2
①〜⑦の解説
  • ①タイトルは“遺言書”とします。
  • ②全文書、自筆で書きます。
  • ③法定相続人でない場合、「遺贈する。」と書きます。
  • ④手続きをスムーズに進めるため、遺言執行者を指定しておきます。
  • ⑤残された家族へのメッセージです。
  • ⑥正確な日付を記入します。
  • ⑦自筆で署名・押印します。トラブル防止のため、実印が望ましいです。印鑑証明書も封筒に同封するとよいでしょう。
その他のポイント
  • 自筆証明遺言では、できるだけ長期保存に耐える用紙を使用して下さい。
  • 訂正・変更する場合、“第○行5字訂正”などとその箇所を示し、変更の旨を付記します。そこに署名し、変更箇所に押印して下さい。
  • 相続財産に関しては、具体的に記載して下さい。(不動産:権利害や登記簿謄本を参考に)(貯金:金融機関名・支店名・口座番号等記入)
  • 費用の負担とその割合等、具体的に記載して下さい。(葬儀費用・債務等)
  • 1つの財産を複数の相続人で共有するような内容はできるだけ避けるようにして下さい。
相続発生後の手続きと流れ 単純承認・限定承認 相続放棄とは
法定相続人の範囲 遺言書の必要性と種類